今更だが、「伊坂幸太郎」がマイブームになっており、『グラスホッパー』と『ゴールデンスランバー』を立て続けに読んだ。

そして、どういうことだろう。今私の中では読み終えたばかりの『ゴールデンスランバー』の事でいっぱいいっぱい。初めに読んだ『グラスホッパー』の記憶がないのだ。結構面白かったはずなのに。

それだけ『ゴールデンスランバー』は衝撃的かつ、切ない物語だったのか。

青柳くんタイトルは、ビートルズのアルバム『アビーロード』の中の楽曲の一つで、物語の中でも、『アビーロード』の曲が印象的に出てくる。

ストーリーは・・・・、国民投票で選ばれた若き金田首相が、故郷、仙台市での凱旋パレード中、何者かによって暗殺される。

その頃、同じ市内で、大学時代の友人森田森吾に久しぶりに呼び出された青柳雅春は、彼から「おまえは陥れられている」「逃げろ!」と助言される。

直後、首相が暗殺され、なぜか警察が青柳に銃を向けてやってくる。

巨大な陰謀により首相暗殺犯に仕立て上げられた青柳。テレビや新聞は大騒ぎして、根も葉もない情報を垂れ流し、警察は犯人が見つかり次第、射殺もやむなしとの構え。

しかも仙台の街は、いたるところにセキュリティポッドが置かれ、携帯やPCを使うと即刻居場所が分かるようになっている。

まさに四面楚歌、青柳は無事逃げることができるのか。

物語は5つの構成になっており、第1部・事件のはじまり、 第2部・事件の視聴者、 第3部・事件から20年後、 第4部・事件、 第5部・事件から3ヶ月後、と成っていて、第4部・事件が作品の大半を占めている。

個性的な登場人物が同時多発的に描かれ、細かい伏線が張り巡らされ、味のある会話がちりばめられているあたり、伊坂ワールドの真骨頂だ。

それにしても青柳雅春は不運な男だ。

人一倍善良な性格が災いして恋人樋口晴子に振られ、トップアイドルの女の子を暴漢から助けたために有名になり、それが巨大な組織から目をつけられるきっかけとなるのだ。

だが悪いことばかりではない。
そのまっすぐな性格のためか、逃亡中、多くの人たちの善意を受ける。

元彼女や、大学時代の後輩カズ、前の職場の宅配便の仲間だけでなく、通りすがりの人たち、あるいは凶悪殺人犯までが体を張って、彼の逃亡を助ける。まさに人徳だ。

そうだ、こんな人の良い善良な主人公が不幸なままのはずがない。きっと最後は自由の身になるのだと・・・・。
・・・だが、ラストをみて、思わずひざを折る(心の中で)。

こんな、こんな結末なんて・・・・・。

ラストシーン思ってもせんないかもしれないが、彼を振った元恋人樋口晴子は、優しく理解のある旦那と、可愛い女の子に恵まれ幸せに暮らしている。

それに比べ、なぜ青柳君はこんな悲惨な目に逢わなければいけないんだ、理不尽すぎる。

打ちひしがれた気持で、最初から読み返してみる。伏線をたどるために。
そして第3部・事件から20年後、を再読して、そうか!と気がついた。

どんなに辛く悲惨であっても決してやけにならず強く生き抜いていく、そして昔の友情を忘れない善良な男に幸あれ。

ああ久しぶりに『アビーロード』が聴きたくなってきた。

ゴールデンスランバー
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