伊坂幸太郎著『終末のフール』を読んだ。

これは「8年後に小惑星が衝突し地球は滅亡する!」、そう予告されてから5年後、仙台市内の、とある住宅地を舞台にした物語だ。

「地球が破滅する!」と知らされた時の大パニックや暴力、殺りくなども今は治まり、一見、平穏を取り戻したかに見える街で、残り3年をどう生きるべきか模索する人たちの日常を追ったものだ。

ふと昔似たような本を読んだことがある、と思った。

新井素子氏の『ひとめあなたに・・・』だ。

素子氏のほうは、「一週間後に巨大な隕石が地球に衝突する」という極限状態の中で、東京から鎌倉まで、歩いて恋人に会いに行く女の子と、旅の途中に出会う、ゆっくり狂っていく女たちの物語だ。

『ひとめあなたに・・・』の登場人物たちはエキセントリックだが、たくましく強い。自分の意志をしっかり持っている。あと一週間という覚悟があるせいか。

それに比べ『終末のフール』は、滅亡を知ってからもう5年、そして余命あと3年という、まことに微妙な、ある意味ヘビの生殺し状態だ。

暴力や襲撃が行われた後の殺伐とした街で、25歳で自殺した息子を思い遣る老夫婦、突然の命の誕生に戸惑う夫、死ぬ前に父の蔵書をすべて読み、そして恋愛したいと思う女の子、等々、さまざまな人間模様が描かれている。

中には、この地球絶滅に幸せを感じている人もいて、理由を知るとそれはそれで切ない。

私が共感したのは、天体おたく、二ノ宮の話だ。
星に夢中な彼は、3年後、小惑星が自分の目で間近に見られることに心から喜んでいる。

私は天体の事はさっぱい分からないが、地球滅亡の瞬間をこの目で見たい、体験したいという気持ちがある。
できることなら、この物語の世界に入りたいぐらいだ。
そして余命3年の間、天体の事、小惑星の事など研究して、地球最後の日に立ち合いたいと思う。

もちろん、それは自分が今平和でニュートラルな状態だから思うので、実際、地球が滅びると聞いたら、みっともない位取り乱すかもしれないが・・・。

そして、地球最期の日をブログに残したら(まあネット使える状況ではないと思うが)、何千年後か何万年後か、誰かが見てくれるだろうか?

終末のフール (集英社文庫)
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