佐々木譲著『警官の血 上巻』の中で、初代の安城清二は、二つの迷宮入りした殺人事件を、ひそかに調べていた。

一つは不忍池で殺された若い男娼、もう一つは谷中の墓地で殺されていた16歳の国鉄組合員。

調べているうち、彼らには共通点があるのに清二は気づいた。
まずどちらも警察と接触していた様子がある事。そして二人とも色白の美青年(美少年)だったこと。
う〜ん、アンタッチャブルな匂いがぷんぷんするぞ〜。

さて、長男の民雄は高校卒業後、憧れの父の背中を追って、警察学校に入学する。彼の夢は父と同じような駐在所勤務の制服警官になる事だ。

ところがある日、公安部の課長が民雄の前にやってきて、彼に北海道大学を受験するよう命じる。

公安は彼の資質を見抜き、過激派の潜入捜査官として抜擢したのだ。

そのシーンに私は思わず、大好きな香港映画『インファナル・アフェア(無間地獄)』を思い出した。

その映画は、警察学校の生徒であった主人公のヤンが、その優秀さを買われ、潜入捜査官として10年間ヤクザの世界に身を置く物語だ。

しかし、いくら香港映画でも生徒をいきなり潜入させて10年間も働かせるなんて、乱暴過ぎー、設定に無理あり過ぎーと思ったものだが、まさか民雄が同じような目にあうなんて。

彼は命令に従い表向きは北大の学生として、過激派の行動に目を光らせるようになる。

だが民雄は苦しんでいた。新左翼の活動家の多くは真面目で誠実で、倫理観のある人たちだったから。

ノンポリ学生の方が、世の中をシニカルに見ている人が多い。親の金で贅沢をしながら路上生活者たちを嘲笑しバカにしている。

それに比べると活動家たちは、少なくとも貧しい人弱い人に対して優しく暖かだった。戦争を憎み貧困や不平等に対して鋭敏だ。

その感じ私も分かる気がする。

私は子供のころリアルタイムで、よど号事件や浅間山荘事件、テルアビブ空港乱射事件など見聞きしているので、過激派の連中に対する嫌悪感は強い。

しかし、色々調べてみると、例えば重信房子や浅間山荘でリンチ死した遠山美枝子など、工場で働きながら夜間大学に通い、良い世の中にして子供たちに残したいと願っていたという。

素晴らしい世の中にしたいと願った彼らが、なぜ結果的にお互い殺しあうようになってしまったのか・・・・。

ちと脱線したが、とにかく活動家たちは純情で誠実な人が多かった。

自分を信頼している彼らを騙している事が心の重荷になる。だが彼は悩みながらも忠実に潜入活動を続けた。

民雄は事あるごとに潜入を解いてくれるよう頼んだが、北大卒業時の昭和47年当時、赤軍派の活動は活発で、北大出身で、表向き逮捕歴のある民雄は、貴重な存在だったのだ。

結局7年間潜入を続けた彼は、解かれた時にはもう神経がぼろぼろだった。

自分のアイデンティティが分からない。不安神経症で診療科の治療が必要だった。常に人の視線が気になり、物音に怯える。

そんな状態で駐在所の警察官になれるはずもない。書類仕事ばかりでイライラは募る。

とうとう彼は家で暴力を振るうようになる。そして子供の前で妻を殴って怪我をさせるのだ。

何ということだろう。地元民に信頼される駐在所の警察官になるのが夢だったのに、今の自分は家族からも軽蔑や憐みの目で見られている。

そんな彼にある日、亡父の同僚からある情報が入ってきた。

父が二つの殺人事件を追っていたという事実を民雄は初めて知る。

彼は父の死の真相を知る事が出来るだろうか。そして夢に見た駐在所勤務は叶うのか・・・・・・続く(未定)

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