362181_001 明日はアカデミー賞の授賞式だが、候補作の一つ、『スリー・ビルボード』を観てきた。

典型的なアメリカ南部の田舎町。
保守的で黒人差別の意識が高いこの町で騒動が起こる。

娘をレイプされたうえに焼き殺された母親が、なかなか犯人が捕まらないのに苛立ち、道路沿いの大きな立て看板に広告を出すのだ。

それには、娘がレイプされた事と、警察署長の実名を載せ、捜査が遅れていることをなじっている。

人々はもちろん、この母親に同情していたが、署長を実名でなじっていることに、抗議の声を上げる。

実はこの署長、末期の膵臓がんで余命いくばくもないのだが、病の体に鞭打って、誠実に捜査を続けていたのだ。

しかし母親の横暴ともいえる態度は止まず、、町の人々との溝はますます深くなる。
特に署長の部下の一人は、激しい憎悪を抱く。

思うに、この母親は、娘の死に対する罪悪感から逃れるため、あえて、粗暴にふるまい、憎まれることによって、ある種の安らぎを感じていたのでは。

自分のような母親が、人並みに笑ったり楽しんだり幸せになったりしてはいけないのだと。

その点、昨年観た映画『マンチェスターバイザシー』と共通点があるような気がする。

『マンチェスターバイザシー』の主人公も、自分の罪が赦せず、女性と付き合ったり、人と楽しく会話することを避けていた。

そういえば、『スリー・ビルボード』で母親の息子役だった俳優、『マンチェスターバイザシー』では主人公の甥として重要な役を演じていた。

そんな訳で、主演女優賞は、この粗暴な母親かな?