ある活字中毒者の日記

       神は細部に宿る

南米

雨の日はマルケスを抱いて

これ以上はない、お花見びよりも束の間、桜昨日より雨が降り続いている。

4年と11ヶ月と2日、雨は降りつづいた。

先日、G・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を読み終えた。今、この物語のフレーズの一つ一つが、頭の中をぐるぐる廻っている。

すべて、私ごときの考える想定外に進んでいくストーリィー、灰汁の強い登場人物たち、シュールでありながらリアリティ溢れる描写。

自分の乏しい読書体験から鑑みても、こんな作品は初めてのような、でも妙な既視感もある。ファンタジーでもない、敢えて言えば、安部公房の不条理、中上健次の血の絆のような。

同じ名前が繰り返し使われているが、そのうち名前なぞ、どうでも良くなってきた。皆同じ、ブエンディア一族なのだから。

この一族、女たちはたくましいが、男はみな孤独にさいなまれている。軍隊や戦争、発明や金細工すべてが、孤独をいやす手なぐさみに過ぎないのだ。

一番惹かれた人物は、この家系最後の男だ。あくの強い最初の頃の人物たちとは違って物静かだが、一族すべての特長を収斂している。

私は今回、この稀有な物語の表面をさらっと流しただけに過ぎない。いつか彼らの本当の孤独を理解する日が来るだろうか。

〜こうして10年間の旱魃が始まった。

百年の孤独

 

 


 

年下の男

ガエル・ガルシア最近、気になっている俳優がいる。ガエル・ガルシア・ベルナル。メキシコの青年だ。
天国の口 終りの楽園』や『モーター・サイクル・ダイアリーズ』などに主演しているので、ご存知の方も多いだろう。

先日、彼の主演した作品『ドット・ジ・アイ』を観た。
美しいスペイン女をめぐる、イギリスの裕福な男性とブラジルの若者の三角関係の物語だが、普通の恋愛映画と思いきや、話が急展開し、ラストは唖然とする、サスペンス仕掛けだった。

面白くはあったが、物語をいじり過ぎたためか、ガエルの持つ不思議な魅力があまり生かされず、ちょっと残念。

そう、彼には人の心を落ち着かなくさせる、妙な力があるのだ。
身長は高くない、つか、はっきり言ってチビだ。顔だって可愛いが、決して美青年ではない。見ようによっては、ナイナイの岡村君に面影が似ている。
安物のグランジのTシャツを、肉体の一部のように着こなし、たたずんでいる彼の風采。たまにスーツを着ていても、借り物に見えてしまう。
そして瞳は純粋なのに、妙に淫乱な口元。

つまり彼は「成長過程の男」なのだ。やがて、違う大人へと成長していく、今ニッコリ笑っていても、明日はいないかもしれない。その落ち着きのなさ、おさまりの悪さに、極東の年増女は、惹かれてしまうのかもしれない。

そう考えると、彼が『モーター・サイクル・ダイアリーズ』で、チェ・ゲバラの若き日を演じたのは、みごとな選択だ。
作品を観ながら、「このやんちゃな男の子が、やがて、あの革命家になっていくのね、むむむ」と思わず感慨にふけったもの。

もちろん、いつまでも「成長過程」ではいられない。今後、どんどんビックになっていくだろう。

でも、これからも彼には、ハリウッド映画ではなく、「ラテン」にこだわってほしい。カラッとしたアメリカより、しっけを含んだ南米の空気の方が、濃い瞳の青年には似合うのだ。

ドット・ジ・アイ

 

 



 

冠婚葬祭の殺人


G・ガルシア=マルケスの『予告された殺人の記録』を読み終えた。以前、映画化されたものを観て、ぜひ原作も読みたいと思っていたのだが、「ガルシア=マルケス」と言うおごそかな響きの名前に、ちょっとびびっていたのだ。

でも、実際読み始めると夢中になり、気がつけば読み終っていた感じだ。

とにかく小説が映像的なのである。映画化された作品よりも映画的というか。そして何よりも濃い!作者は登場人物をすべて、それこそ通りすがりの牛乳屋のおかみさんに至るまでフル・ネームで呼ぶ。それがこの物語の人物ひとりひとりの重さになってあらわれる。

内容は、新婚初夜に、処女ではない事を理由に実家に追い返された娘の双子の兄たちが、処女を奪ったと思われる男を殺しに行く、その数時間を描いたものである。

今では映画の常套手段となっている、現在と過去が入れ替わったり場面が大胆に替わる(フラッシュバックとか、モンタージュ技法とかいうんだっけ)技法を小説にも使い、この町を挙げての惨劇をルポルタージュ風に描いている。

そう、この殺人は町を挙げてのお祭りなのだ。建前上はいけない事になっていても、人々は息を潜めて成り行きを見守っている。
双子の兄たちも、なんか嫌々殺しに出向いているのが見て取れる。やたら時間をとっては、自分たちの行動を止めてくれる人を待っているようだし。
そして殺された方も、垂れ下がった腸を押さえながら、近所の人に微笑みつつ自宅の玄関まで歩いている。なんかシュールである。

残酷でありながら妙に滑稽でもあり、最新の技法を用いながらも、どこか土着の匂いがする。

もっとガルシア=マルケスの本を読んでみたい。

 

 

 

 

 

処女という名の苦い果実

今週の毎日新聞に、ガルシア・マルケスの『予告された殺人の記録』を題材とした記事が連載されていたので、興味を持って読んでいた。

南米コロンビアの田舎町。美女アンヘラは、一方的に求愛され、資産家の男と盛大な結婚式を挙げるが、翌晩、「花嫁が処女ではなかった」を理由に、実家に突き帰された。家中が大騒ぎとなり、アンヘラの「最初の男」の名を問い詰め、翌朝、双子の兄たちが「その男」を殺す・・・。

と、偉そうに語ってはいるが、実はまだ原作を読んでいないのだ。ただ1987年に英・伊で映画化されたのを見、衝撃を受けたものだ。(人の意見によると、映画は原作の足元にも及ばないらしいが)

資産家の男バヤルドに、ルパート・エヴェレット、殺される男にアラン・ドロンの息子、アントニー・ドロンと、当時のイギリス、フランスの2大美青年が共演し、双子の兄たちも美形、などとかなりミーハーな視線で映画を見たのだが、やはり閉鎖的な、カトリック色の強い町における『処女性』の重要性には驚いた。

私は思った。なぜアンヘラはバカ正直に告白したのか。秘密を背負って生きていくことは、女にとってそんなにむずかしい事ではないのに・・・。

さて、この物語は実際に起きた出来事を、ガルシア・マルケスが小説化したものだが、「毎日」の記事を読んで意外な事実を知った。現実のアンヘラ(実名、マルガリータ)が、職に就く女性が少なかった当時、教員という進歩的な生き方をしており、また事件の後、夫から、何度もよりを戻そうと言われていたが断り続けていた事。

先進的な考えを持っていたマルガリータは、「処女でなかった事で離縁されるのなら、そんな結婚こっちからゴメンだわ」てな感じでサバサバしていたのかもしれない。だが閉鎖的な町や家族は、彼女の思惑とは全く違う悲劇に追い込んでいった・・・。

・・・・とにかく、この先はガルシア・マルケスの原作を読んでみて考えよう。

予告された殺人の記録

 

 

熱帯夜の悦楽

0431私は熱帯夜が、わりと好きだ。

暑く重い闇につつまれていると、だんだん感覚が研ぎ澄まされていく気がする。まるで流れ出た汗の分だけ、心がクリアになっていくような・・・。

そんな神経が高揚して眠れない夜、買ったばかりの枕元の文庫本を手に取ってパラパラとながめるうち、ふと手を止めた。東京大学理学部教授松井孝典氏が、何とあのカストロ議長と昼食を共にしたことを述べている。思わず読み始めた。

キューバという国は、地球史を研究する学者にとって垂涎の地らしい。それは、6千万年以上前に、地球に巨大隕石が衝突した時の地層が全島に渡って分布しているからだ。恐竜が絶滅した原因といわれている、あのディープ・インパクトである

だが地層を調べたくとも、あちこち軍事基地のあるこの国では、なかなか自由な調査が出来ない。それで思い切って数々のツテをたよりに、松井教授はカストロ議長と直談判することになり、共に昼食の機会を得たのだ。教授によると、議長は大そう知識があり話が面白く、また話し出したら止まらない、情熱の人らしい。

議長は1926年生まれ。今年で79歳。この昼食会は5年前だと思うがそれでも74歳。かくしゃくとした、という言葉は彼のためにあるようだ。

振り返って考えてみると、私はキューバの事をほとんど知らない。せいぜい社会主義ということ、キューバ音楽、スポーツが盛んでオリンピックで多くメダルをとってるくらいか?

アメリカの喉元に位置し、ソ連崩壊やアメリカの経済封鎖など数々の困難があったが、今は観光産業が活発らしい。そして子供たちの教育レベルは他のラテン国に比べてずば抜けて高く、国をあげての有機農業も評判が良いとのこと。

キューバを知る事で今まで欧米一辺倒だった自分の世界観が変わってくるかもしれないと、つらつら考えつつ熱帯の夜はふけてゆく・・・。ああ、ダイキリ飲みたくなってきた。

  

 

    
ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ

マテ茶とチャイで、ティータイム

0422最近、「チェ・ゲバラ」がマイブームになってしまい、先日拙ブログに載せた「モーターサイクル・ダイアリーズ」の原作本も早速読んでみたがこれが面白い。原作版のエルネスト(チェ・ゲバラ)は、やんちゃでノーテンキな男だが、なぜか会う人会う人に親切にされ慕われている。それだけ人を引き付ける魅力があるということか。

さて、キューバ革命や共産党といった話とは全く関係ない、瑣末な話題で申し訳ないのだが、この原作版の中でよく「マテ茶」という飲み物が出てくる。エルネストも放浪の旅の中、しょっちゅうマテ茶を飲むためのお湯を沸かしたり、若しくはマテ茶を飲むお湯がないと嘆いたりしている。どうやら単なる嗜好品以上の、日常欠くべからざる飲み物のようだ。お茶+煙草+栄養ドリンクみたいなもん?自称茶飲みババァとしては気になってしょうがない。

熱いマテ茶を、木で出来たストローみたいなので飲むのだが、これがホント美味しそう。過酷な旅で疲労困憊した体にさぞや沁みわたったことだろう。

そういえばユーラシア大陸を旅する沢木耕太郎の「深夜特急」にもお茶がよく出てきた。チャイと呼ばれているそれはもちろん中国のお茶が起源だが、国によって飲み方が違う。インドは甘く煮出したものだし、トルコは角砂糖を使う。そしてイギリスに渡りTEAとなる。いずれの国も、その飲み物がないと夜も日もあけないほど暮しに根付いている。

マテ茶を飲んでみたい。でも飽食でゆるみ切った暮しをしている私に、その味がわかるだろうか・・。

   


モーターサイクル・ダイアリーズ
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