ある活字中毒者の日記

       神は細部に宿る

日本映画

いまさらハゲタカ

連休の最終日、地元の再上映館、「小倉昭和館」にて、映画『ハゲタカ』を観てきた。

この作品には熱狂的なリピーターが多く、ファンのブログを観ても、10回以上、中には20回以上観賞している方も。
思わず『その情熱はどこから来ているのですか?』と問いつめたくなる。未公開映像(もちろん尊敬と愛をこめて)。

ちなみに私は今回を含めて3回。

でも中毒になる理由も分かるのだ。うまくは言えないけど。

まず鷲津のシーンではブルーの、そして中華系ファンド劉一華のシーンでは赤茶けた色の、全体的に靄がかかったような映像。
登場人物たちは、主役を含めほとんど笑わず、みな沈鬱な表情で、「兆」「億」といった記号を追いかけている。
緊迫感あふれる会話は、時に聞き取りにくく、悲愴なふんいきに、音楽がさらに追い打ちをかける。

ラストも爽快感はなく、どよ〜んとした空気に包まれながら映画館を後にするのだが、時がたつと懐かしく思えてくるのだから不思議だ。

今回観て、新たに気がついたのは、中国残留孤児3世のファンドマネージャー、劉一華を演じた玉山鉄二だ。この人うまいよ。

劉一華特に後半のシーン、それまでギラギラしたオーラ出しまくりの、得意満面のファンドマネージャーだったのが、鷲津から正体をあばかれた瞬間、空気を抜かれた風船のように、へなへなと表情がしぼんでしまう。
あるいは狐であることを見破られた美女という趣か。
その後は、あれほどあったオーラはどこへやら。髪型や服装は同じなのに、すっかり抜け殻の体になっているのが秀逸だ。

玉山鉄二って、昔洗剤「ボールド」のCMに出ていたハンサムなお兄さんで時々ドラマに出てる、って認識しかなかったのだけれど、実力派なのね。

そんな訳で映画『ハゲタカ』は来年DVDが出るそうだが、やはりこのどよ〜んとした空気を味わうなら劇場観賞をおすすめ。(もう遅いって!)

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ほど良いおんな

最近、再上映館で映画を見るのがマイブームになっている。

なんたって、ちょっと前の映画が2本立で千円なのだ。作品も良いものを吟味して選んでいるし、ヒット中に観るよりも、少し時間を置いた方が、腰をすえて客観的に楽しむことが出来る。

さて、昨日観た映画は『かもめ食堂』

フィンランドの和風食堂で繰り広げられる、3人の女の物語。
小林聡美、片桐はいり、もたいまさこが演じるのだが、この3人の距離感が絶妙なのだ。

決して馴れ合いにならず、助け合って協力はするが、個人の領域には踏み込まない。
どんなに仲良くなっても、お互いを丁寧語で話す。

「君子の交わり、水の如し」などとよく聞くが、中年の女たちでもそれは当てはまる。

ある程度年を経れば、誰もが心に重荷を背負っている。それは他人にはうかがい知れないものだ。

そんなわけアリらしき女たちが、さわやかなヘルシンキの港の風に吹かれながら、自転車で走り、シンプルで清潔なキッチンでフライパンを扱い、おにぎりを作る。

また小林聡美演じるサチエの姿が、絶妙なのだ。

料理をする時の手さばきの良さ。決してプロの料理人のような派手さはないが、長年心を込めてお料理を作ってきた、熟練した母のような丁寧さだ。

自分の信念を貫いているが、他人の意見も聞き、実行してみる柔軟性も持ち合わせている。

すべて、ほど良いのだ。特に美人ではないが、華がある。

完璧すぎてちょっと物足りなささえ覚えてしまうが、凛としたサチエに、日本女性の理想を感じ、その姿が、北欧の街にピッタリあうのが不思議だ。


かもめ食堂

 

 

 

 

 

 

 

 

「3丁目の夕日」はSFか。

映画「ALWAYS 三丁目の夕日」を観た。

昭和30年代の風景が、造形的に面白かった。例えていえば、リドリー・スコット監督「ブレード・ランナー」の近未来の風景(ワカモトの電飾など)や、「ブラック・レイン」の大阪の街に共通するような。
ただ映像としては面白いが、登場人物に対しては、昭和30年代の匂いは感じられなかった。

理由は、まず映画の中の人たち、特に子供たちの小ざっぱりとした身なりにある。青バナをたらした、顔にあかぎれのある子供が1人も出てこないし街には傷痍軍人もいない。(まぁ、ドキュメンタリーではないから、そこまでリアルにする必要はないが)。なんか登場人物すべて育ちが良いというか品が良いのである。

そしてやたら明るいのだ。コミックが原作だから多少デフォルメしているのだろうが、集団就職で東北から上京する15歳の娘が、あんなにキャピキャピしているはずがない。

また、売れない作家役の吉岡秀隆のベタな演技には戸惑ってしまった。

この映画で光っていたのは、身寄りのない少年役の子と、その父親役の小日向文世、そして三浦友和演ずる孤独な医者だけだ。

製作者はどんな意図でこの作品を作ったのだろうか。単にノスタルジックを楽しむだけなら良いが、それが長じて、昔は良かった人情があったなどと言い出すと、ちと困るのだが・・・。

ところで映画の中、駄菓子屋で子供たちがクジを引くシーンがあった。私が子供の頃は、ニッキの味がする紙をなめると文字が浮かんでくるというクジがあったが、ああいうのって、やはり家内制手工業で、作ってたんだろうな。

 

 

 

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