連休の最終日、地元の再上映館、「小倉昭和館」にて、映画『ハゲタカ』を観てきた。
この作品には熱狂的なリピーターが多く、ファンのブログを観ても、10回以上、中には20回以上観賞している方も。
思わず『その情熱はどこから来ているのですか?』と問いつめたくなる。(もちろん尊敬と愛をこめて)。
ちなみに私は今回を含めて3回。
でも中毒になる理由も分かるのだ。うまくは言えないけど。
まず鷲津のシーンではブルーの、そして中華系ファンド劉一華のシーンでは赤茶けた色の、全体的に靄がかかったような映像。
登場人物たちは、主役を含めほとんど笑わず、みな沈鬱な表情で、「兆」「億」といった記号を追いかけている。
緊迫感あふれる会話は、時に聞き取りにくく、悲愴なふんいきに、音楽がさらに追い打ちをかける。
ラストも爽快感はなく、どよ〜んとした空気に包まれながら映画館を後にするのだが、時がたつと懐かしく思えてくるのだから不思議だ。
今回観て、新たに気がついたのは、中国残留孤児3世のファンドマネージャー、劉一華を演じた玉山鉄二だ。この人うまいよ。
特に後半のシーン、それまでギラギラしたオーラ出しまくりの、得意満面のファンドマネージャーだったのが、鷲津から正体をあばかれた瞬間、空気を抜かれた風船のように、へなへなと表情がしぼんでしまう。
あるいは狐であることを見破られた美女という趣か。
その後は、あれほどあったオーラはどこへやら。髪型や服装は同じなのに、すっかり抜け殻の体になっているのが秀逸だ。
玉山鉄二って、昔洗剤「ボールド」のCMに出ていたハンサムなお兄さんで時々ドラマに出てる、って認識しかなかったのだけれど、実力派なのね。
そんな訳で映画『ハゲタカ』は来年DVDが出るそうだが、やはりこのどよ〜んとした空気を味わうなら劇場観賞をおすすめ。(もう遅いって!)