ある活字中毒者の日記

       神は細部に宿る

音楽

可愛いエイミー

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イギリスの歌手、エイミー・ワインハウスは大好きなアーティストだ。

たぶん中学生の頃キャロル・キング以来の、夢中になった女性歌手ではないだろうか。

初めて彼女の歌声をラジオで聴いたとき、きっとこの人はベテランの黒人ソウルシンガーだと思い込んだものだ。


それほどエイミーのボーカルは熟成されたいぶし銀の魅力に溢れていた。

そして代表曲『リハブ』を聴くと分かりやすいのだが、彼女のボーカルはテンポが少しずれているというか、微妙に遅れている。

だが逆にそれが心地よく味わい深い世界を作っているのだ。

きっと彼女は既成の『音楽機構』にとらわれない稀有な才能の持ち主なのだろう。

そんな魅力あるエイミーだが、2006年の名アルバム『back to black』以降、ここ数年聞こえてくるのはゴシップばかり。

薬中毒、アルコール中毒、奇行、逮捕・・・・・・。

スキャンダラスなニュースは、彼女が2008年グラミー賞で5部門受賞した後でも、終わることはなかった。

今年に入って、もはや「廃人同然」という噂も聞き、やきもきしていた時、スカパーで、エイミーのライヴ映像を観ることができた。

それは2008年7月、アイルランドでの野外ライヴで、黒っぽいスーツの男性バックバンドを従えたシンプルなステージだ。

そこでの、白いキャミソールドレスのエイミーのなんと可愛らしい事!

優等生レディ・ガガのようにダンスが出来るわけでもなく、歌いながら不器用に体をくねらすだけ。

そのしぐさが、まるでおしっこをがまんしている少女のようで、頻繁にずり落ちてくるキャミソールドレスの肩ひもをせわしなく上げる仕草。

その無頓着さ、天真爛漫さ、思わず抱きしめたくなるほどの愛おしさ。

それでいて響いてくるのは、深みのある天下一品の歌声だ。

今は批判の嵐にさらされているが、彼女はいつか必ず復活する。新しいアルバムを楽しみに待とう。そう思ったものだ。


今朝、新聞の片隅で、エイミーの訃報を知る。享年27歳。
Amy-Winehouse
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世界はマイケルをどう見たか

マイケル・ジャクソンの全生涯を徹底調査した日記風ドキュメント
『マイケル・ジャクソン全記録1958-2009』を読んだ。

月明かりで散歩これは彼の人生を、時系列にそって、いつ、どこで何をしたかを淡々と追ったものだ。

偏見や同情や誇張もなく、ひたすら事実だけを書き連ねたこの本、つまり1958年8月29日、黒人家庭の7番目の子としてアメリカインディアナ州ゲイリーで生れた彼が、2009年7月7日の追悼式で、11歳の娘パリスから『これだけは言いたいです。お父さんは私たちが生れた時から今まで、ずっと最高の父親でした・・・パパ、愛してる』というはなむけのスピーチを受けるまでの50年をつづったものだ。

読み進むうちにその多忙さに驚かされる。新聞の社会欄によく「首相の日々」が載っているが、あれが40年以上続いたようなものだ。

幼いころから働きづくめ、世界中でライブを行い、毎日のように有名人に会い、毎日マスコミに追いかけられ、多くのファンに会い、世界中の子供たちの施設を訪問し続けたパフォーマー。

また巨額の契約を交わし、優秀な人材を雇い、一方解雇も辞さないという、冷徹なビジネスマンの顔も見せる。

後半ごろから、訴訟、裁判、検察という文字がやたら出てくるのがアメリカらしいというか、この本自体が、ひとつのアメリカ近代史のようだ。

そして、マイケルと私は同世代のせいか、思わぬ共通点に気がつく。

例えば、マイケルは1963年、幼稚園で、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の中の「すべての山に登れ」を歌い大喝さいを浴びるが、私も幼稚園で「ドレミの歌」を歌っていた(だからどうした・・・)

またマイケルはTV番組の「三バカ大将」が好きだったそうだが、私もその番組が好きで、小学校から帰るとテレビで見ていた。

そんな訳で、マイケルの行動を時系列で追いながら、「ああ、この頃は私は何してたかなぁ」と過去をぼんやりと振り返るのが楽しみとなった。キング・オブ・ポップの行動と自分のを比べるなんて、不毛以外の何物でもないのだが・・・。

さて2005年の裁判で、無罪判決を受けて3ヶ月後、その舌の根も乾かぬうちに(この表現間違ってます)、マイケルは、ハリケーン「カトリーナ」の被災者のチャリティーをすると発表したが挫折。
そりゃ当然だろう、例の裁判費用は、莫大だったろうし、または彼の側近が「マイケルはん、いい加減にしなはれや」と進言したのかも。

事実をつづっただけだから、なおさら想像力を掻き立てられる。

マイケルに余計な修飾語は必要ないのだ。

マイケル・ジャクソン全記録 1958-2009
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全身音楽家

私は、マイケル・ジャクソンの歌やダンス・パフォーマンスを心から愛しているが、彼のプライバシーには興味がない(嘘)、いや興味のないふりをしたい。

他愛のない恋、単純なラブソング、そんな曲が大好きで、メッセージ性月明かりで散歩の強い歌は苦手だ(ホントに愛しているのかよ)。

世界平和や地球環境や、世界中の子供たちの幸福とか歌われても、興味のない私は、「はぁ、至極ごもっともですが・・・・・(沈黙)」

そんな壮大な事ばかり考えるのから、ヤクザな家族に足元すくわれるんだよ、地に足をつけよマイコー(ホントにホントに愛しているのかよ)。

しかし、私は不思議に思うのだ。マイケルは5歳からジャクソン・ファイブで歌い始め、11歳でモータウンに加入、デビュー後いきなり4曲連続ナンバーワンを記録し、たちまち大スターとなった。

生き馬の目を抜くアメリカ、ショービジネスの世界で、子供の頃から彼はレコード会社のシビアな契約や訴訟を見てきた。
また長年、マスコミの目やテレビカメラにさらされる事で、どうしたら自分の姿がマスコミ受けするか熟知していたはずだ。

ある意味アメリカで一番、契約や訴訟に強く、また一番、カメラ映りやマスコミ受けを知り尽くしていた男がなぜ、頭の悪そうな家族に訴えられ、冤罪とバッシングにまみれた10数年を過ごさなければならなかったのか。

イン・ザ・クローゼット彼は決して世間で言われるような繊細で純真な青年だけではないと思う。

27歳のころビートルズの版権を買っちゃうあたり、勝負師というか冷徹な実業家でもあったのだ。

そんな訳で、疑問を払うべく、久しぶりにマイケル関連の本を読んだのが、音楽家西寺郷太著『マイケル・ジャクソン」

帯に「なぜマイケルは誤解されたか」と書かれてあったので、果たしてその謎は解けるか!と思ったのだが・・・・・。

・・・時間軸できっちりとらえ、大変分かりやすく読みやすい本だった。ジャクソン家の兄弟の記述が意外と多く(まぁMJは20年間、ジャクソン5・ジャクソンズのメンバーでもあったし)「少年虐待疑惑」の章は痛々しく胸が詰まりそうになる。
全体的に著者のMJに対する愛情が感じられ、ラストの数行は思わず涙ぐんでしまった。

エボニーでも、・・・・謎は溶けなかった。

もしかしたら、私には分からない大きな力が働いていたのかもしれない。

謎は残っても、彼の歌とダンスは本物だ。

プライバシーのバッシングはあっても彼の楽曲に対するバッシングは聞いた事がない。

著者がいみじくも語ったように、カラーTV台頭の時代にデビューし、家庭用ビデオ台頭の時代に再びブレイクしたマイケルは三たび、インターネット動画Youtube、そして3Dによって、いつまでも語り継がれることだろう。

マイケル・ジャクソン (講談社現代新書)
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帰りたかった舞台

マイケル・ジャクソンの映画『THIS IS IT』のDVDを初日に購入したものの、しばらく観ていなかった。実はあまり期待していなかったのだ。

さんざん劇場で観たせいもあるが、この作品はあくまで寄せ集めのドキュメンタリー映像で、大きなスクリーンの大音響の中で鑑賞するから映えるのであり、わが家のしょぼいモニターから見たらガッカリするのではないかと・・・・・。

・・・杞憂であった。
MJエァーまず、ヘッドフォンを使ったせいか、映画館では気付かなかった音を多く拾えた。

様々なパートの楽器の音はもちろん、マイケルの息遣いやステップを踏む音、くちゃくちゃガムをかむ音まで耳に入るのだからこれは楽しい。

そして劇場では見過ごしていた細かい動きや、マイケル以外のスタッフ、ダンサーたちやミュージシャンらも捉える事が出来て彼らの魅力も再発見出来た。

そんな訳で「本編」はすっかり堪能したのだが、「特典映像」を見ていて気になる事があった。

そこでは、ロンドン公演に向けての意気込みと共に、舞台で使う筈であった装置や仕掛け、衣装などを披露しており、その豪華さスケールの大きさに驚くと同時に、莫大な費用が掛かったのではと想像した。

シルク・ド・ソレイユばりの派手な舞台、大がかりな3D映像、特にエンディングの仕掛けにはさぞ観客は驚いたことだろう。
そして衣装、凝りに凝った水晶を何万も使ったもの、電飾を付けたもの・・・・。
衣装担当のデザイナーが『費用は幾ら掛かるんでしょう〜?』みたいなことを言っていたので、予算は気にしないで最高のものを作るよう指示されていたと思われる。

飛翔

もちろんこれらはマイケルのアイデアが中心で、彼が希望したものだ。

しかし・・・・、
特典映像の中で、プロデューサーの1人が、マイケルを称賛しながらも、申し訳なさそうに「採算がとれるかが問題なんです・・・・・」と語っていたのが印象に残る。

50公演という過酷なスケジュールを立てたのも、ペイするために必要だったのだろう。

昔、マイケルのライブを見に行った友人も言っていた。
『他の日本人アーティストと同じ、いやむしろチケットは安かった。その割に舞台は驚くほど派手で、あれで採算合うのかな〜』と。

もとより私はいい加減な似非ファンだが、長い間待ち続けていた真のマイケルファンはどう感じただろうか。

例をあげて言うと、ある女性がいて、彼女には10年ほど前、出て行ったきり音信不通になっている恋人、兄、弟でもいい、いたとする。
風の噂では悪いことばかり伝えられる、お金にも苦労しているらしい、心配で堪らない。

そんな彼がある日ふらっと帰ってくる。
がりがりにやせているのに、手には持ち切れないほどのお土産を抱え嬉しそうに笑っている。
グラミー賞その女性はきっとこう言うだろう。

『私は、あなたの顔さえ見られたら幸せなのに、こんな無理をして、ホントにばかねぇ…』と泣き笑いするだろう。

ファンの人たちは、電飾のきらびやかな衣装や大掛かりな仕掛けを望んでいた訳ではないと思う。

たとえマイク一本でもいい、元気で歌い踊るマイケルが観たかった筈だ。

でも彼は完璧を求めていた。観客の驚かすのに喜びを感じ、子供のように胸をワクワクさせ、あれこれアイデアを考えていたのだろう。

マイケルの血のにじむような努力とファンたちの忍耐、それが徒労に終わったとは思いたくない、そこには確実に「愛」があったのだから。

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可笑しゅうてやがて哀しき月の路

バッドツァーマイケル・ジャクソンが主演・総指揮の映画『ムーンウォーカー』を観た。

先月WOWOWで放映されていたものを、友人が録画してくれてたのだ。

しかし私、20年ほど前、すでにこの作品を劇場で見ていたのであった。ああ、若気の至りと言うべきか。

そして当時、映画を観た直後の頭の中は、思い切り
「はぁ〜〜〜???」であった。

内容のあまりのトホホさというかトンデモさに腰が抜けるほど脱力し、その後ふつふつと怒りが沸いてくる。

「マイケル、売れてるからってちと天狗になってんじゃないの、何これ、映画をなめ過ぎ!!」

ちびBADとあの頃、飛ぶ鳥を落とす勢いだったマイケルを、誰も止める事が出来なかったのだろう。そして出来た作品は、シュールといえば聞こえがいいが、意味不明な不思議ワールドだった。

そんな訳で20年間『ムーンウォーカー』は私の中で封印していたのだが、もうマイケルはいないし、このさい追悼の意味でもう一度観ようと思ったのだ。

・・・・・・で、観終わったんですけど・・・・・。

いやぁ、これがめちゃ面白くてハマってしまって、今リピートで観てる途中なんですよ!!(ああ情けない)

まず冒頭に『マン・イン・ザミラー』のライヴ映像、それからジャクソン5からの彼の半生が結構長く続き、はてこれは追悼映画だったかと見紛うほどで、懐かしい映像にほろりとし、ああマイケルってやっぱJ5の時が一番歌が上手いわねぇと再確認したり。

その後いよいよマイケル登場。ファンや警察に追いかけられたり、子供たちと野原で戯れたり、悪の組織のアジトに乗り込んで殺されそうになったりします。
スムクリ途中、酒場でダンスを踊ったり、子供が悪の組織にさらわれたりしますが、最後はロボットに変身して悪者をやっつけます。(小学生の作文調)。

突っ込みどころがあり過ぎてどうしようもない寸劇、もとい学芸会、もとい映画ですが、若くて美しく幸せそうなマイケルの姿を見るだけで、今はもう満足です。

でもやはりこれは失敗作ですね。

マイケル・ジャクソンは子供なんです。だれかちゃんと叱ってくれる大人はいなかったんでしょうか。

そんな訳で今からリピートの続きを見ますので、(ああ、情けない)

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ただ音楽だけを愛して

イノセントマイケルマイケル・ジャクソンの映画『THIS IS IT』のDVD予約件数がすごい事になっているらしい。今月19日から再上映も始まるし、盛況なのは良いことなのだが、長年マイケルと確執があったソニーや、結果的に彼をハードワークに追い込んだAEGが、がっぽり儲けるというのが何だかなぁ。

まぁ業界のことは素人には分からないし、色々と大人の事情もあるんでしょうけど。

そんな私も汚れた大人のひとりだが、最近心が洗われるようなアルバムCDをゲットした。

それは、『JACKSONS LIVE』

意外だが、ジャクソン5、ジャクソンズの時代を含めて、マイケルの公式ライブアルバムCDは、この『JACKSONS LIVE』 だけなのだ。

ジャクソンズ名義とはいえ、もうこの時マイケルのソロアルバム『オフ・ザ・ウォール』が出ているので、アルバムの内容は、『オフ・ザ・ウォール』のヒット曲と、ジャクソン5及びジャクソンズ時代の名曲てんこ盛りという、ソウル好きR&B好きには堪らない内容だ。

廉価なため音質が心配だったが、これも全く大丈夫。
元々、作り込んでいないシンプルなライブ音源だし、何といっても20代前半のマイケルとお兄ちゃんたちの、屈託のない、若さあふれる張りの泣き虫マイケルある声、リズムに魅了される。

マイケルのMCや兄弟たちとの掛け合いも微笑ましく、観客たちの黄色い声援に、当時の人気のほどが伺える。

マイケルも、1人でライブを背負っている重圧がないせいか、とてものびのび、リラックスして聴いている方も楽しくなってくる。

こんな美味しいアルバムなのに、値段がなんと、663円なんですよ〜!

コストパフォーマンス高すぎ、デフレのせいか、ドル安のせいなのか!

たった663円でこんな幸せな気持ちになるなんて、そんな安っぽい私が好き。

そして聴いているうちに、中学校時代の、よく通った映画館、古くて、トイレが臭くて、モギリのおばさんが愛想悪くて、それでも胸をワクワクさせながら通っていたあの頃を思い出す(それにしても映画『ベン』はしょうもない作品だった。どういう経緯でマイケルはテーマソングを歌ったのか)。それと体育館の倉庫の匂い。鞄の皮の匂い・・・。

無題1今、やっと気がついた。マイケル・ジャクソンは、私にとって、初恋だったのだ。そしてその恋は、細々ながらも続いていた。

だが2001年以降、彼の新曲は出ず、音楽活動も聞かず、聞こえてくるのはゴシップか裁判ネタだけ。
容貌も変っていく彼に急速に心が離れて行った私は、6月25日の訃報にも泣くことはなかったが、胸がざらざらするような虚しさを感じたものだ。

そして今、苦難の道を歩みながらも音楽を決して忘れなかったマイケルをしのび、これからも彼の音楽を愛していきたいと思う。

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ベンのテーマ
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天使の囁き、悪魔の咆哮

11月27日(金)、映画『THIS IS IT』は終わった。

最終日のレイトに行ったら、いつもより大きいハコなのに客で満席。
そしてエンドロールになっても誰も席を立たず、終わった途端、一斉の拍手。
映画館で拍手なんて、大人になって初めての体験だし、第一シャイで無愛想な地元市民の気質を考えると、これは驚きだ。

まったくこの一カ月、マイケルのおかげで幸せな日々だった。

映画を観る以外にも、昔の彼の曲を聴き直して新たな発見をしたり、ダンスパフォーマンスの動画を観て、その完成度の高さに驚いたり。

デンジャラスマイケルが一番苦しかっただろう時期、まったく気にも留めていなかった薄情な私にさえ、死後、こんな素敵なプレゼントをくれるなんて。

少女趣味の感想と笑われてもいい、マイケルは天使だ。

そしてこの天使は、カッコイイ、美しいだけではない、隙のある、等身大の姿も見せてくれる。

まずダンサーのオーデションのシーンでのマイケル、老眼鏡(!)してる、まぁ50歳だからねぇ。

ヒストリーツァーそして『BEAT IT』、マイケルが対立して喧嘩している不良グループを仲裁するシーンで、ダンサーたちが喧嘩に夢中になってマイケルを忘れたため中に入れず、途方にくれている姿とか、『ブラック&ホワイト』で間奏に黒人のラッパーが出てきた時、最後一緒にポーズを取るつもりがワンテンポずれてしまったとか、他にも足が滑りそうになるのもあったし・・・・(ていうか、あら探しかよ)

だが、そのすべてが今は愛おしい。

天国のマイケルは、『THIS IS IT』が世界で愛されていることについて、喜んでいるだろうか、それとも完璧主義の彼の事、『こんなゆるい姿を世界中のお客さんに見せるなんて―。本当は、もっと上手なのに―。』と、あのか細い声で遠慮がちに抗議しているだろうか。

バッドツァー

 

 

 

 

 

 

 

 

人生はやっぱり素晴らしい

バッドツァー11月もあと一週間ほど。

今月はやりたいこと盛りだくさんのはずだった。
読みたい本もたくさんあったし、デッサンの勉強に精を出し、小旅行にも行こうと思っていた。

なのに・・・・映画『THIS IS IT』を見た途端、全てが吹っ飛んでしまったのだ・・・。

消えかけていたマイケル・ジャクソンへの残り火が再び燃え盛り、自分でも収拾がつかないほどだ。

彼の音楽がこんなに好きだったのに、なぜ私は応援をし続けなかったのだろうか。

ファンの方のHPやブログを読むと、彼が世間の誹謗中傷のさ中にあっても、変わらぬサポートを続けていた人が多いのに・・・。

思うに真のマイケルのファンは、知性的な人が多いようだ(私は似非ファンだが)。

ビリー・ジーン裁判、児童虐待疑惑、肌の色など様々なゴシップに対し、決して感情的にならず、しっかりとした証拠を集め、理性的な筆致で持論を述べているあたり、ただただ頭が下がる。

さて今更マイケルの楽曲をヘビーローテーションで聴きこみ、様々なダンスパフォーマンスを観て思うのは、良い時代になったなぁということだ。

私がマイケルに夢中になり初めの頃は、インターネットはおろかビデオの普及にもまだ遠い時代だった。
だからレコード(その後CD登場)かダビングしたカセットテープを聴くかしかない。それかディスコに行くか(!)。

マイケルのダンスは凄い!と噂で聞いても、それが見られるのは、TVの深夜の音楽番組でたまに映像が流れた時くらいだ。

スムクリ今はネットで簡単に彼の超絶ダンスパフォーマンスを堪能することが出来るのだから、色々弊害はあっても、幸せな時代だと思う。

さてマイケルは、モンスター的ヒット『スリラー』など素晴らしいアルバムをたくさん残しているが、私が一番思い入れが深いのは、やはり『オフ・ザ・ウォール』だ。

1979年マイケルが21歳になる年に作られたソロアルバムだが、その完成度の高さには驚かされる。
当時はディスコサウンドと呼ばれ、平成の若者には“昭和歌謡”と同じくらい死語かもしれないが、疾走感、リズム感(グル―ヴ感ていうんですかぁ)そして美しいメロディ、
今聴いても新鮮だ。

現在のように作り込んでいない分シンプルで、それゆえにクォリティーの高さが際立つ。

ポール・マッカートニーやスピーディー・ワンダーも楽曲を提供しており、ラリー・カールトン、ルイス・ジョンソンなどそうそうたるメンバーをバックに、マイケルのベルベットボイスが美しく花開く。

ソウル、R&B、ポップス、そしてバラード、どれもが珠玉の名作だ。

ふと、もしマイケルがずっとこの路線だったら・・・と、考える事がある。
実際の彼は『スリラー』以降、どんどん進化していって、その急激なハイパー化に付いて行けなかったのも、私が彼の音楽と疎遠になった原因の一つかもしれない。

さてアルバム『オフ・ザ・ウォール』のジャケットには、まだ幼さの残るマイケルが黒いタキシードを着て笑っている。
憧れのクインシー・ジョーンズをプロデューサーに迎え、人から歌わされるのではなく、自分の意志で初めて作ったソロアルバムだ。

これからの長い人生、未来への夢と希望にあふれた21歳の若者の笑顔がそこにある。

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意外とオヤジなスーパースター

美しさ無限大マイケル・ジャクソンの映画『THIS IS IT』も、鑑賞4回目となると、現金なもので物足りなさを感じるようになった。

それはそうだろう、これはあくまでライブのリハーサル映像を編集したものなのだから。ボルト選手の練習風景よりも、実際の100メートル決勝を見たいのと同じだ。

でもそれが叶わぬ夢であれば、せめて輝いている彼の姿をこの目に焼き付けたい。

さて、私は今までマイケルに対して生身の男の色気というか、エロティックさを感じたことがなかった。
股間鷲づかみパフォーマンスにしても、いやらしさを微塵も感じさせないのは、彼の人徳かそれとも、あまりにハイパー化されたキャラのせいか。

華のある男だがこの『THIS IS IT』のマイケルは違う。なぜか“男”を感じるのだ。
それは特に女性と絡むシーンで顕著だ。

たとえば『The way you make me feel』という曲の中で、マイケルは通りすがりの美女にからむパフォーマンスをするのだが、その時の彼が妙にエロチックで、ちょい悪オヤジ全開といった風情なのだ。
女性ダンサーの太ももにさわったり後ろからそっと抱きしめる仕草も生々しく、当たり前だが、ああマイケルも熟年男なんだよな・・・・としみじみ感じ、なぜか嬉しかった。

それと前回も書いた『キャント・ストップ・ラヴィング・ユー』のシーン。
マイケルは女性ボーカリストに熱心に指導するあまり、抱きしめたり胸に触りそうになって、思わず見てる方はひやひやした。

彼の愛情の表れなのだが、逆にその愛情過多が、あらぬ噂や誤解を招いたのかなと思うとなんとも切ない。

全体的に、マイケルは男性への指導は淡白だが、女性に対してはとても極め細やかに対応しているようだが、やはり熟年男だから?

今までのハイパー化した中性的なマイケルも好きだけど、熟年エロオヤジ路線のマイケルも見たかったなぁ・・・・。

リーダーは僕さ

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

僕らの上司はスーパースター

佐々木譲著『笑う警官』が映画化された。
原作は面白かったし、主演の大森南朋クンは大好きな俳優なのだが、監督が“角川春樹”ということで、今回は見送ることにした。
監督は他にもいるだろうに、よりによって何故ハルキなんだー。

喝采は永遠に・・・そんな訳で、『THIS IS IT』に再び、せっせと足を運ぶ。

今回は、大人としてのマイケル、50歳、働き盛りの男の仕事ぶりを見つめてみた。

さて、マイケルというと、「ネバーランド」などで分かるように、大人に成り切れない、子供の心を持ち続けた男、というイメージがある。

ある女性のインタビューでも『マイケルは子供時代は誰よりも大人で、大人になると、子供に戻りたがっていた』というのがあって、思わず「なるほど」と感心したが、こと仕事に限っては、さすがと思わせる働きぶりで、職歴40年以上のキャリアは伊達じゃない。

マイケルはこの『THIS IS IT』の中では、歌もダンスも軽く流していカーテンコールは鳴りやまずる。
リハーサルというのもあるのだが、彼には自分のパフォーマンスの他に、バックダンサーやコーラス、ミュージシャン、スタッフへの指示や指導、音や舞台のチェックなど重要な仕事も負っているからだ。

彼の指導ぶりは、変な言い方だが、三味線の師匠が口三味線で、弟子に伝えているようだ(と言っても三味線習ったことないが)。

元々口下手で右脳人間と思われるマイケルは、理路整然と部下を説得させるのは苦手なようだが、身振り手振り体を使い、辛抱強く、「分からせる」のではなく「感じてもらおう」と努力している。

例えば「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー』という曲のリハーサル中、デュエットの女性ボーカルに元気がなく、声に張りが感じられない。

マイケルは、すかさず彼女を呼び寄せ、彼女を見つめ表情豊かに、時にジェスチャーもまじえ、歌い上げる。

ハートを狙い撃ちすると固かった彼女の表情に笑顔があふれ、彼に合せるように、美しいハーモニーを奏でるのだ。

曲が終わった後、マイケルの『今、のどのウォーミングアップ中だから、本気で歌いたくなかったのに―。」という愚痴とも照れ隠しともとれるぼやきに、舞台監督がすかさず『ノリノリで歌ってたくせに―。」と返すあたり、ああ良い空気だなと思った。

そして「ビリー・ジーン」のリハーサルのシーン。
マイケルがダンスを軽く流していると、舞台下で見ていたバックダンサーたちが、何とブーイングをしてるのだ
「流さないでマジでやってよー。」みたいな。

やがてマイケルがノリノリで腰を振りだすと、バックダンサーたち大はしゃぎでやんやの大喝采。

この上司と部下の関係、いいな。

管理職としてのマイケルは、ちょっと口下手だけど、部下思いで、誠実な、可愛いオジサンでした。

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