ある活字中毒者の日記

       神は細部に宿る

Category: SF

タペストリー弥生3月、いわゆる木の芽時になると、いつも、もやもやした不安な気持ちになるが、10月も、やはり同じような症状が出てくる。

春とは逆に、暑い夏からじわじわ冬に向ってゆく、まるで下り坂の途中に立っているような不安定な感じが原因なのだろうか。

さて、10月になると必ず読みたくなる本がある。レイ・ブラッドベリの短編集「十月の旅人」だ。普段は存在さえ忘れているのに、ひんやりした空気が心地よい、でも妙に地に足のつかないこの季節になると、無性に読みたくなる。

なんだろう、このSF短編集にも、得体の知れない不安がうずまいている。特にこの中の『十月のゲーム』。私はこれを読んで初めて「ハロウィン」なるものを知ったせいか、今だにこのイベントには、無邪気な気持ちで楽しむ事ができない。

SF小説でありながら、土着的な血の匂いがする短編集。

くりかえしくりかえし読んで、やがて不安な気持ちが消え去った時、もう秋も終わりだろう・・・。

10月はたそがれの国

 

 

ウルフガイ'70年代の女優には、幸薄いイメージがある。美人でスタイルも抜群、頭だって良いのに、なぜか無気力で、しかも簡単にからだを許す(つか、表現古っ!)

桃井かおり、秋吉久美子、関根恵子、高橋洋子、梶芽衣子など・・・・。

彼女らが今も元気で活躍し、お肌ツルツルだったり、意地悪なオバサン役をしたり、幸せな家庭を持って孫もいると知ると、良かったなと思う反面、裏切られたような気も・・・。

平井和正著「ウルフガイ・シリーズ」も、いかにも'70年代風の薄幸の美女が多く登場し、殺されたり拷問されたりする。平井氏の小説は大好きなのだが、どうも年をとるにつれアクションやバイオレンスに弱くなってしまい最近は読んでいない。かえすがえすも残念である。

さて、氏は、今も精力的な活動をされ、オンライン小説や携帯小説にも意欲的に取り組んでいる。そのいつも最先端を行く姿勢には驚かされる。やがて私の孫ぐらいの人が、携帯端末で「ウルフガイシリーズ」を読み、自分のお祖母さんの若き日を想い描くことであろう。

平井和正氏のような、つねに前を走る人がいるからこそ、物語は語り継がれる。その心の若さがうらやましい。

  


エイトマン Vol.11

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